Archive of posts from yyyy-08-01
— [本] 『リトル・ピープルの時代』「ビッグ・ブラザーとはウルトラマンであり、リトル・ピープルとは仮面ライダーである」という第1章のキャッチーすぎる言葉が指し示すように、本書は村上春樹という日本を代表する作家の作品と、ウルトラマンと仮面ライダーという日本を代表するヒーローを相互に参照することによって、私たち(卵)と世界(壁)との関係性を明確化するというものである。
以下、自分が気になったところだけを、自分の言葉で適当にまとめ。
ビッグ・ブラザーの時代の関係性はわかりやすい。問題は私たちよりも大きくて、権力を持っていて、私たちは大きなものから距離を取り、救世主(ウルトラマン)は私たちの外側からやってくる。しかし、その大きな物語が崩壊すると、何が正しいのか/自分が誰なのか、よくわからなくなる。でもやるんだよ!(逃げちゃダメだ)と息巻いてみるが、大きな物語は回復しないまま、世界の終わりは訪れないまま、リトル・ピープルだけが残される。村上春樹の『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』では、「私」が「やれやれ」と(消滅しかけた悪に対する)正義を執行しようとし、「僕」が個人として「責任」を取ることを選ぶ。
リトル・ピープルの時代(平成仮面ライダーの時代)には、大きな物語はもはや存在しない。自分が誰なのかよくわからないが、それでも問題ない(アギト)。「正義」はリトル・ピープルの数だけ複数存在する(龍騎)。そして、誰もがヒーローになり(555)、「僕(野上良太郎)」にいたっては、他者との「関係性」でヒーローになる(電王)。
その集大成が、自分が誰なのかよくわからないまま旅をし、「正義」はライダーの数だけ存在し、自らも他者に変身することができ、村上春樹の言う「壁抜け」をして、歴史を物語ではなくデータベースとして扱う存在……ディケイドだ(ディケイドに物語はない!)。ディケイドは、リトル・ピープルを破壊・接続するシステム(壁)として機能する。リトル・ピープルでありながらシステムのルールさえも書き換える、リトル・ピープル時代における「壁」が初めて可視化された瞬間だ(ディケイドは悪魔だ!)。
リトル・ピープル時代のもう1つの描き方は、他の世界を無視することで(「正義」をローカルコミュニティに限定することで)、システムとしての「壁」を嘲笑の対象とし、失われた「物語」をあえて構築することだ。それをすべての「責任」を取ろうとする「僕」(世界の終わり)と、正義の「俺」(ハーフボイルド)が再び「合体」することで実現している(W)。
オーズは描かれてないけど、オーズの話も聞いてみたいね!
あと「ダークナイト」の解説もよくまとまっていて、素晴らしかった!
クリストファー・ノーラン監督。
胡蝶の夢ってみんな好きですね。でも「マトリックス」ですね。役割分担は「レディ・イン・ザ・ウォーター」っぽいかな。潜在意識の描写はさすがにクリストファー・ノーランすげぇぇ!! って感じだけど、ミッションの成功を一度も見せてくれないし、最終的に私とあなたの小さな世界にハマってしまうし、デカプリオの役は本当に残念な感じ。相棒のジョセフ・ゴードン=レヴィットは「(500)日のサマー」の印象が強すぎて、何をやっても微笑ましく見てしまうなぁ。渡辺謙のジジイは何年換算なんだ。
あ、あのトーテム(コマ)は欲しい。グッズ販売すればいいのにな(販促グッズにはあるみたいだけど)。
それはそうと、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の予告編が流れたとき、劇場が失笑でいっぱいになったのには腹の底から吹いた。
— [本] 『テクノロジストの条件 』うーん。特に目新しいことはなく。
- テクノロジスト
- 知的労働者のなかで、知識労働と肉体労働の両方を使う人たち
- ポストモダン時代は非線形な時代である。そのなかで何をマネジメントしなければならないか。
- テイラーの科学的管理法が対象としたのは肉体労働。これはムダ取りによって生産性が向上できた。つまり、マネジメント(assessment)が可能。
- 知識労働はそれ自体で生産性が向上することはない。取り巻く組織、外部要因、モチベーションなどが合わさって、成果として発揮する。ここでのマネジメントは、assessmentではなく、monitoringが重要となる。
関連
- capsctrl:プロフェッショナルの条件
WRさんの影響で行ってみたZEブックオフ原宿店。で、新訂版版じゃないやつを105円で購入。ちょっとだけ書き込みがしてあるのが原因かな。RDB扱ってて、これってなんでなんだろう?って思ったときに読むといいかもしれない。通常は慣習というか、そーゆーもんだろ?って扱っている事項が、いちいち説明してある。薄いけど重宝しそう(薄いが故に堅いけれど)。
— [映画] 踊る大捜査線 THE MOVIE 2 “レインボーブリッジを封鎖せよ”うんこ映画です。もしくは普通の2時間TVドラマ。
みんな「おもしろかったー」つって帰っていくのを見て、俺は「アッチ側」の人間にはなれないんだなーと思って不安になってきたよ。ほんまに?正直に面白かったの?マジで?俺がおかしいのかなやっぱ。
アレは単純にマネジメントの失敗であって、それ以上なにも語るべきものは含まれていない。余計なものの上に感動がのっかったところで、それでどうして泣けるのか不思議。
浦島太郎の亀は子供いじめられてかわいそーでした。
って、そりゃそーだろーけどよぉー? そこじゃないだろ見るところは。
本来描くべきは、リストラのない公務員においてマネジメントの処罰がどう行われるのかという点だと思う。だって興味ない? あの後、真矢みきがどうなるのかって。一般企業においてでさえその責任はあいまいになりがちな点だよ?(お前プロジェクト成功させたことあるの?って上司がなんと多いことか!)どうなるの?ねえ?どうなるのってば?
んと、今回のテーマは組織論だったわけですが、最終的に「優秀な上司がいればピラミッド型もいいもんだぜ?」ってな結論に織田がもっていく。つーか、そもそもピラミッド型の組織が最良だってことくらい、誰しもが分かってることだろうに。たしかに、上司がバカだったり部下がアホだったりその両方だったりしてピラミッド型はダメだーみたいな誤解を受けやすいことは確かだけど、だからといってそれ以上の組織があるとは思えない。ピラミッド型がいい!なんて、なんで今更改めて言われなきゃいけないのか意味不明。は?横のつながり?そんなん組織でも何でもねーよ。
深津絵里が「私たちみたいな軍隊のような組織は……」という台詞を言うシーンがあったんだが、お前「フルメタルジャケット」を見たのか?と。そんなヌルい考えで軍隊なんて使うんじゃなーい。そもそもウジ虫は考えちゃダメなのですよ。(でも深津絵里は萌)
全体的に焦点が散漫すぎ。『パトレイバー2』でも見習いなさい。1024倍優れている。