[映画] 『ゴーストワールド [DVD]

壮絶呑み会でボンクラ編集者がオススメしていたので見てみた(Discasでレンタルしようと思ったら、家に未開のDVDがあったという……)。

クソみたいな家庭のクソみたいな街に住む高校生がクソみたいな学校を卒業してクソみたいな補習を受けてクソみたいな就職に頭を悩ませていた女の子が、自分と同じ「こっち側の人間」を発見して、次第に惹かれていく……が、しかし、みたいな話。

ボンクラ編集者は主人公の女の子やスカーレット・ヨハンソンに共感していたみたいだけど、主人公の悩み自体は「よくある話」かなあとも思う。もちろんスカーレット・ヨハンソンは最高なんだけど、自分は「こっち側の人間」を演じるスティーヴ・ブシェミにより共感できた。1人でミルクシェイク飲むとかたまらないんだよなあ。なのに急に「普通」に成り下がっちゃう。もちろん脚本上のことなんだけど、その瞬間を見ると猛烈に胸が苦しくなる。

ブシェミは「昔」に囚われているだけだったんだ。一方の主人公は「ゴースト」を見ている。あのときはたまたま50年代のレストランやらの「昔」が自分の探し求める「ゴースト」だと思い込んでいただけなんだ。手に入れたと思ったら……あれ?違った……の繰り返し。それではいつまでたっても手に入るわけがない。

とはいえ、若いときの悩みはどうにだってなる。少々のことなら失敗してもいい。職をクビになっても、あとで笑い話になる。住みにくいなら街を出ればいい。

でも、会社をクビになって彼女にふられて病院送りになってセラピストに通うオッサンはどうなるのか。再就職も結婚もできないだろうし、年老いた母親を残して街を出るわけにもいかない。悲しすぎるよスティーヴ・ブシェミ。