[本] 『凡人のための仕事プレイ事始め

人が仕事をするのは「人から怒られないようにするため」という言葉があまりにもキャッチー。怒られないようにするためには、事前に(ムダに)根回し(仁義を切る)をしたり、悪くなくても謝ったり、別の誰かを生贄にしたり、改善策を言うと責任問題になるのでルールとNG集だけを提示したり、友情をぶち壊したり、「赤信号みんなで渡れば怖くない」状態になったりする。それぞれに実話を元にしたエピソードがはさまっていておもしろい。そういう不条理な世界なので、サラリーマンには抜け道はたくさんあるし(お茶飲んでるおっさんがいるとか)、逆に成果を出せば誰も怒らなくなるので自由にできたりする。

で、ここから、「とはいえ仕事なんだから、お金がないんだったら文句言わずにやりましょうよ」という感じになぜか著者が誠実になっていって、途端におもしろくなくなるんだけど、一度でもフリーランスをやると「仕事をくれるサラリーマン(というか人脈)」がありがたくなるんですよね。それはわかるんだけど、前後半で別の本にしてもよかったかなあ。

あと、『ウェブはバカと暇人のもの』を出版するにあたり、契約していたサイバーエージェントからダメ出しをくらった話もおもしろい(139ページあたり)。