[本] 『安心社会から信頼社会へ: 日本型システムの行方 (中公新書 1479)

文章がつまんないし読みにくい。いくつか実験やってるけど、そこから導きだす結論もよくわからん。

が、内容はそれなりにおもしろいことを言っている。まとめるとこんな感じか。

  1. 相手に対する能力(やれるかどうか)の問題は扱わない。信頼(やってくれるかどうか)の問題だけを扱う。
  2. 信頼には、自分がリスクを伴うかもしれない「信頼」と、相手に罰則を与えて成り立つ「安心」がある。たとえば、三蔵法師と孫悟空の関係は「安心」関係である。
  3. 「信頼」を築くにはコミットメント関係を成立させることになる。
  4. コミットメント関係は、他への「乗り換えコスト」と「機会費用」のバランス。
  5. コミットメント関係では、関係性検知の社会的知性(社内政治みたいなこと)が必要。ここが面倒なところで、信頼関係を築こうとした結果、安心関係を築いてしまう。
  6. ただし、機会費用の高い社会システムでは、コミットメント関係を築くよりも、人間性検知の社会的知性(相手を見抜く)を高めるほうが重要になる。こちらの方向に社会が進んでいくのがいいのではないか。

ゴムとコメの話がわかりやすかった。ゴムは品質が判別しにくいので長年のお付き合い(コミットメント関係)で取引をする。しかし、コメは見れば品質が判別できるので、相手を決めずに自由に取引できる(ピーター・コロックの説)。

で、日本は集団主義でコミットメント関係を築いているから、集団内部に対しては「安心」を感じるが、集団外部に対する「信頼」を持っていない。これからは欧米のように「信頼社会」へと移行するべき。という感じにしてるんだけど、何を言ってんだろうか。まあ、コメの目利きになれということだろうけど、なんだかな。