[映画] 『アメリカン・ニューシネマ-反逆と再生のハリウッド史 [DVD]』
60年代におけるハリウッド大手プロダクションの終焉と、ヨーロッパ(ゴダール・フェリーニ・トリュフォー・ヴィスコンティなど)および日本(黒澤・小津)の映画作品からの影響、ベトナム戦争やウォーターゲート事件を契機とした政治不信、そして社会的マイノリティの台頭。
こうした背景を裏付けとした監督の作家性が重要視された作品群。これが70年代の「アメリカン・ニューシネマ」と呼ばれる。そしてこのDVDは、それが手短にわかるドキュメンタリー。すべての作品を網羅しているわけではないので、あとは自分で勉強することになるが、だいたいの流れがわかるだけでも大変勉強になる。
アメリカン・ニューシネマは、80年代の「ロッキー」「ジョーズ」「スターウォーズ」などの「わかりやすい」映画の成功によって終焉を迎える。政治や社会の問題点を扱う作家的な作品は、「映画のなかでまで難しいことを考えたくない」という観客に敬遠されていく。つまり、作家性よりもエンターテイメント性(あるいはビジネス性)が求められるようになったのだ。
しかしながら、この作品の登場人物たちは口をそろえて、監督が自分の言いたいことを言える環境はこれからも残していかなければならないと言う。たとえば、フランシス・フォード・コッポラ監督はジョージ・ルーカス監督を指して、「スターウォーズを撮り終えたなら、彼は作家性のある作品を作るだろう」と予言している。
この話題については、町山智浩著『映画の見方がわかる本』も参考にしたい。