[映画] SRサイタマノラッパー@下高井戸シネマ
- 監督:入江悠
- 脚本:入江悠
宇多丸師匠が「号泣メーン!!」と叫んで話題になった映画。
主人公はニートでラッパー志望。じっとしてるか韻踏んでるだけの生活。彼は熱心に理不尽なことを探しているのだ。国際問題。政治問題。大きな大きな理不尽。ラッパーにはボキャブラリーが大切ですからね。
でも、目の前の小さな理不尽は見たくない。デブ。田舎。ニート。いつかライブやりたいけどできない。いつまでもこんなんでいいのかよ。薄々気づいているけど、結果は知りたくない。
それが、実際に、目の前に表れる。そこからは下り坂。体も心もボロボロ。
そしてラストシーン。高らかに韻を踏む。大きな理不尽じゃなく、自分の、今の状況を、そして夢を、ぶちまける。小さな理不尽なら俺が変えてやるぜ!! TOM。おしまい。ジャーン。
とてもとても評価の難しい映画。まず映像がつたない。演技も微妙。背景がきちんと描かれていない。ちょっとしたシーンが無駄。カメラが固定。カット数が少ない。あと、ラップが必要以上に上手い(上記のようなことを考えると下手じゃないとつじつまが合わない)。
でも、そうじゃない。これは映画じゃないんだ。観客が「あっち側」の人間かどうかを見るための装置なんだ。特にラストシーンでは、主人公が「あっち側」に立っている。つまり、構図が逆。そこで笑いが起こる。ギャグっぽく見えるからだ。でも、「あっち側」の人間にとっては、それはギャグじゃなくて、マジなんだ。
それとは別に、市役所の会議室でラップするシーンは名シーン。日本的な面を端的に表している。普通に笑える。寄って、引いて、回って、主人公目線、というカメラの動きもいい。
あと、みひろが超絶イイ。これだけは譲れない。
見終わったあとにアレコレ考えることのできる映画ってのはいいもんで、見終わったあとに YouTube 見たり、 twitter であれこれ発言したりしてたら、TKD先輩や入江監督やレオパルドンの高野政所さんから話しかけたYO。わーインターネッツって広大だわ。