[本] 『ハイ・コンセプト 』
大前研一の顔が帯にあるので敬遠してたけど、
複数の場所で薦められていたので読んでみた。
大枠としては、ドラッカーのいう「ナレッジワーカー」の時代は、コンピュータや途上国への労働力の移動などによって代替される。そこから一歩抜きんでるためには、ハイコンセプト(全体を見渡す能力)およびハイタッチ(感情を扱う能力)の力が必要となる。この時代のことを著者は、情報の時代(第三の波)に続く「ハイ・コンセプトの時代」と呼んでいる。
この時代では、著者の提示する「デザイン」「物語」「全体の調和」「共感」「遊び心」「生きがい」といった6つの感性を使って、従来の「左脳主導思考」から「右脳主導思考」への切り替える必要がある。
まあ、ありがちな流れではあるんだけど、各章の終わりに豊富なリファレンスが用意されていて、それが結構面白かった。
たとえば、IDEOのカードゲーム、ロバート・マッキーの著書、アメリカ軍の体験ゲーム、エクマンの著書、生きがいを得るための著書などは、どれも実際に手にしてみたいと思った。他にも好きなデザインをスクラップする話なんかは、今だとtumblr.やFFFOUND!なんかが該当するのだろう。
特におかしなことは言ってない。むしろ、好意的な印象を持ったほどだ。
ただ、注意しておかなければならないのは、「左脳主導思考」の上に「右脳主導思考」があるとゆーわけではないという点だ。著者もそのくらい分かってはいるはずだが、あまりその点が強調されていない。言い換えれば、例として挙げている有名デザイナーがデザインしたトイレ掃除用ブラシが、そのデザイン性がゆえにクソ使いにくいものになってたらどーするよ?という点だ。あるいは、まだ使い勝手の上で改良の余地のあるものに、デザインを乗っけるだけでGJ!みたいに思われちゃうのはどーよ?という点だ。
デザインとかなんとか言っちゃうのもいーけれど、
それは行くところまで行っちゃった分野の話であって、
まだまだデザイン以外で語るべきことが多いところはまだ
たくさんあるのだという視点を忘れちゃならんよねー。