[本] 『東京タワー 』
泣く泣くと評判のようですが、別に泣きませんでした。ぼくの母親も若松出身で、今自分が自由が丘に住んでるもんだから(九品仏の公衆トイレだってよ!)、なんか親しみを感じながら読みましたけども、オカンよりも、おばあちゃんの死のところでウルっときましたね。オカンの話は30歳を越えたら分かるのかもしれないなあとか、漠然と思いましたが、どんなもんでしょうね。
だもんで、全体的に前半のほうが印象に残ってて、子供という存在のダメっぷりが非常に上手く描かれた本だったなーと思います。特に小学生のダメっぷりが秀逸。と、同時に、話相手に悪いと思ってやめた、という妙な遠慮感がリアルだなーと。そんなのを話として書いている人を初めて見たかもしれない。
あとは、オカンの芸は素晴らしいってのと、人のつながりはいいねーってのと、親は親として生まれてくるんじゃないんだーって割と当たり前のことを考えたり、オカンの死後すぐにアイドルタレントの評論を書かなければならない仕事になんともいえない複雑な印象を受けたり。
これは、人生で一度だけ書ける類の書籍ですね。いずれ自分も、同じような境遇になるんだと思います。その前に、これを読んでいろいろと心の準備をしとくといいのかもしれない。
いま、実家に帰ってきてて、これを読んだからといって、あからさまに親孝行をするつもりはありませんけども、親の死とかなんとか、いずれは考えないとなーと思いながら、普段通りの会話をしたりしています。