[本] 『犯人に告ぐ : 雫井 脩介』
実家に転がっていた『週刊現代』のランキングで1位だったので、本屋に買いに行ってきた。
で、読んだ。ふーん。文章は上手いし、全体的に面白い。けど、面白味に欠ける。余裕がないっつーか、遊びがないっつーか。淡々とストーリーを進めていって、ちゃんちゃんってあっけなく終わる。どこが厚いのかも分からないし、逆にどこに厚みを持たせればいいのかも分からん。参考文献なんかを見ると、娘の心臓病に厚みを持たせようとしたように思えるんだけど、あれがそんなに厚いとは思えないんだなあ。
帯には「劇場型捜査」って文字が載ってて、いちおうコレがこの物語の肝みたい。劇場型捜査とは、TV番組(ニュース23みたいなやつね)を通じて公開捜査を行うことを指しているんだけど、これって単なる出オチでしかなくて、マッハのスピードで飽きちゃう。つーか、その存在自体が物語のなかで次第にどーでもよくなってくるんだからダメすぎ。それでも、TV番組の描写は実況板かなんかで「巻島たん次マダー?」みたいなやり取りが行われているんじゃねーの?と思えるほど臨場感が漂っていて、そこらへんは上手いなーと思いました。
(あと、ちょうどコレ読んでるときに奈良の事件の犯人が捕まった)