[本] 『非営利組織の経営

ドラッカーを読んでないオジサンはいなくなっていいと思っています。ドラッカーの著書を参考文献に挙げていないマネジメント本は読む価値がないと思っています。ドラッカーの言葉に反することは、だいたい間違いだと思っています。

と、前置きして。

この本は凄い。非営利組織を題材にしてるんだぞ。非営利組織を題材に扱うのは非常に難しい。なんてったって、成果が見えにくいのだから。「お金」という、ある意味簡単な拠り所にその価値を見出すことが出来ない。だが反面、その「お金」がないことには組織の存続も難しい。ジレンマであるな。すなわちそこには、営利団体とは違ったお金の流れ、成果の測定方法が必要となってくる。

また、非営利団体のリーダーは、そこで働く人々(ボランティアの方々)のモチベーションを営利団体のそれとは全く違ったやり方で、維持・増長させる必要がある(給料やら昇進やらという言い訳は通用しない!)。

成熟社会では、非営利組織に参加する人間は少なくない。
それは地域のボランティアだったり、ボーイスカウトだったり、教会だったり、ハッカーだったり、その種類は様々なのだが、うまく機能していない非営利組織では、その成果が「やったぜー!」っていうような単なる自己満足の段階で終わったりしているのが現状。これでは非効率極まりない。非営利組織といえども、成果や効率はきちんと重視すべきである。

以上のことから、非営利団体はまず「なすべきこと」、つまり使命を明確にしなければならない、とドラッカーは提言する。って、あれ?これっていつものドラッカー節じゃね?……はい、その通り。いろいろな制約(主に儲けとしての「お金」)が排除された結果、ドラッカーの純粋なマネジメント論がここでは展開されている。

さらに、使命の明確化にはマーケティングが不可欠だと述べ、あの** コトラー**と対談を行っている。ドラッカー×コトラー。字面だけで、すんげー。僕は、このマーケティングの個所が一番大事なように思ったよ。ここだけ読むのもアリかも。結論:「マーケティングは、販促を不要にする」。

このへんは、山形さんがNPOについて語っている辺りと、あれこれつながるところかもしれないなあ。

※翻訳だからやっぱ読みにくいのが難点。