[本] 組織というもの
休日にサイゼリアで読んだ。どちらもオススメ。というか、同時に読むといいんじゃないかな。どちらも企業における「階層構造」についてアレコレ語っている。
まず前提条件として、企業には
- 1人の人間ではできないことの実現
- (1)のサービスを継続して提供しつづけること
の2点が求められている。
特に(2)が大切で、継続したサービスの提供ということは即ち、どこかがルーティンワークをいつまーでもやってなきゃならんっつーことである。これをミクロなレベルで考えると、従業員は日々のルーティン業務をただひたすら処理していかねばならないっつーことになる。これはサラリーマンがまず最初に諦めなきゃならない点だわな。
で、通常のルーティンワークで処理できない「例外」が発生したときは、上司にその例外を throw する。上司が例外を処理できなければ、またさら上に throw する。その上が処理できなければまた throw して……と、この繰り返し。throw されっぱなしだと、上はたまったもんじゃないということは想像に難くないよね。つまり、効率よくこの例外を処理することこそが業務の「生産性の向上」というところにつながってくるわけ。できるだけ下の階層で例外を処理できたほうがベターだということは、まあ、明らかだよね。よく言う「ワークフローの改善」うんぬんという話は、例外の発生率を下げ(もしくは例外への対応力を上げ)、上に throw しないようにするということに他ならない。
みんなは「悪い」階層構造についてアレコレ言うけれど、「良い」階層構造というのを知っておるのかい? 階層構造って、業務を行うのに最適な組織構造なんだぞー。というのがまず最初の主張。
が、ローレンス・J・ピーターいう人が面白いことを言っている。「いたるところ無能だらけ」。
これはドラッカーも言っていることなんだが、階層構造組織においては、日々行う業務がクラス(階層)によって異なる(当然だな)。だが、ヒトはその違いにうまく適応できないことが往々にしてある。「うまくいってた」頃の仕事のやり方を、新しい階層においても行おうとしてしまうのだ。
ローレンス・J・ピーターはこの現象のからくりをこう解く。
有能レベルでウマー
↓
出世
↓
有能レベルでウマー
↓
出世
↓
無能レベルでマズー
つまり、人間には「有能レベル」と「無能レベル」があり、「有能レベル」で「できるヒト」には、「無能レベル」へ続く出世が待ち構えており、誰もその流れを止めることが出来ないというのだ。そしてケインズよろしく「最後にはみな無能レベル」状態になるというわけだー。わーわー。
この「事実」を踏まえた上で、サラリーマンは各々、対処策を考えなければならない。そもそも何もできないスーパー無能であれば、出世することもないから何も考えなくともよいが、そこそこ有能レベルなひとは、「どこまで有能でいられるか」を考える必要がある。ある意味、チキンレースだな。
早く崖っぷちまで出世して、そこで安泰、これ、最強。そのための「not 押し but 引きの法則」なんつーのもあるから、このへんは本を読んでおくれ。
視点を経営者レベルに持っていこう。従業員は出世が「無能レベル」へ続く道だとは知らず、「出世させろゴルァ」とうるさい。やつらの要求に従って、みんなを出世させていたら、それこそバカばっかになって、組織は崩壊しかねない。すぐに「悪い階層組織」の出来上がりである。
ここでは『組織戦略の考え方』における「マズローの欲求階層説の誤用」をしっかりと認識し、やつら中間層に「有能レベルのままでとどめておく」インセンティヴが必要になってくる(インセンティヴが「出世」や「賃金」ではないことは明らかだ)。