[本] 『ウェブログ・ハンドブック: ブログの作成と運用に関する実践的なアドバイス

今までのウェブロについての議論って「いかにしてユーザーに金槌を持たせるか」という点にばかり注目が集まっていたように思う。その結果、「社長もblogを」だとか「このツールはこんなに簡単」だとか「みんなが金槌持ったら新しいビジネスモデルでうっしゃっしゃ」だとか、「blogってのはよく分からんが、とりあえずみんなを走らせてみればなんとかなるでしょ?」的な物言いをよく見かけるようになってしまった。やつらはしたり顔でこう言うんだ。「blogの社会に与える影響の可能性は計り知れない」と。でも、もうそんなウェブロ論は飽きた(・A・)だって、なんだかうさんくせーもん。

大切なのは(言うまでもなく)そんなところにあるんじゃあない。金槌’‘の持ち方を教えるんじゃなくて、’‘クギ’‘をどうやって見つけるか、’‘クギ’‘を打つときに何に注意すればよいか、そもそも何が’‘クギ’‘なのか、どうして自分は’‘クギ’‘を打とうとしているのか、なのだ(’‘金槌’‘を持つと、なんでも’‘クギに見えてしまうというのは、よく聞く比喩だ)。

髭剃りにだって哲学があるんだから、blogにだって哲学や作法があって然るべき。そんな大切な「作法」をレベッカたんが「経験と人生と魂を込めて」丁寧に一冊の本に仕上げた。ここに「経験」が入っているのがポイントだ。リアル・ブロガーの言葉は重く、実に頼もしい。

特に「第6章 ウェブログのコミュニティとエチケット」は必読。どうしてリンク先の横に「via example.com」「through example.net」「from example.org」なんて記述を入れるの? 間違えた場合はリライトしたほうがいいの? リンク先がFlashだったらどうすればいいの? そんな、簡単だけど見落としがちなマナーについて、きちんと教えてくれる。

今までblogはいろんなくだんねーことに巻き込まれて、とうとう「blog(笑)」になってしまった(少なくとも俺の中では)。あたりまえだけど、blogだってキチンと使えば、キチンとしたものになる。メディア批判の一翼を担ったり、同じ趣味を持つコミュニティの形成に欠かせない存在になったり、アグリゲーションによる新しいアプリケーションの可能性だって出てくるんだろう(きっと)。普通のひとがこんなにもXMLに注目したことは無かったはずだ。

これからblogが流行っていくであろう2003年の年末にこの本が出版されたことは(仮に、もっと早く出版できたのにyomoyomoさんが原因でズルズルと年末にズレこんでしまったのだとしても)大変価値のあることだと思う。今度こそ「相互リンクしてもいいですか!」ってメールを出すとか、「くだんねーこと」すんじゃねーぞ。コラ。

最後にレベッカたんのお言葉を引用(p.173)

いかなるウェブログであれ、新しい読者ができれば、それは我々皆に利益をもたらすし、コミュニティにおいて、あるウェブログを高めるものは、我々皆を高めてくれると私は確信している。

ピース!

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