[本] 思考論理学 考えるワシ/橋本治

Amazonに載ってねーなーと思ったら、復刊ドットコムに載ってる。げげ。

えーと、まず最初に「ハゲという題材について」というのが載っている。橋本治がハゲについてあーだこーだ言ってます。これが面白い。

以下、俺なりの要約(引用部分も引用に非ず)。

ハゲとは苦悩の象徴(もしくはリアルな症状)である。苦悩と現世とは両立しえないものだから(悩んでばかりいたら生活してらんねーから)、現世を捨てる「出家」という人為的なハゲなるものまで存在しているわけである。

このことはつまり、現世に苦悩(=ハゲ)は本当は存在しえないものということを意味する。故に、

ハゲは存在しても存在しない

ということが成り立っていると言える。

ハゲのひとにハゲネタを振れない(ハゲを無いものとして扱う)のは、実はそういうことなんだ、と(笑:バカだこのおっさん)。

そして何より重要なのは、それまで成立していた

出家=世捨て=人生の終わり

という公式が、平均寿命が延びた今日の日本においては、もはや成立しなくなっているという点である(まるでドラッカーの理論だッ!)。今ではもう、昔のようにハゲたら人生終わり、というわけにはいかない。ハゲは人生の終焉から、人生の半ばにシフトしてきている。ハゲていない時期が人生の第一部。そして、ハゲてからが人生の第二部なのだ。

言わば、ハゲは、人生の「通過儀礼」なのである。覚悟しろ!

ハゲてない人は第二部も考えておけ

と。

青春の曲がり角

これは最後の章。すんげー面白かった。図解だったので、文章で説明するのは難しいが、xyzzyの罫線モードを使って、なんとか説明するよ(俺的要約。引用に非ず)。

まず「成長」とは何なのか。普通はこうやって、上に伸びていくイメージを抱くだろう。

成長
↑
│
│
○

だけどいつかは青春の曲がり角にぶつかる。

←──────┐
青春の曲がり角│
│
○

曲がり角があったもんだから、
青春時代を振り返ったときに見えるものは
ユーミンという名の別物となっている。

←──────┐- - - - - →
青春の曲がり角│(ユーミン)
│
○

ここで「人間の幅」とは何なのか考えてみる。
それは、「いつ曲がり角を曲がるか」に依存する。
3歳で曲がるよりも、20歳で曲がったほうが幅があるってわけ。
人生は線ではなく、面で考えるのだ。

←──────┐3才
青春の曲がり角│
○
←──────┐20歳
青春の曲がり角│
│
│
│
│
○

角を曲がりきれなかったひとはどうなるのかというと、
現実の壁を越えてしまい、

妄想

↑
───────┼────
現 実 の 壁│
───────┼────
← - - - - - ┤
青春の曲がり角│
│
│
○

あっちの世界にいっちゃう。

あと説明しにくいんだが、青春の曲がり角をきちんと直角に曲がるのは難しく、そこには紆余曲折が作り出す「ブザマ曲線」と、それによって通過できなかった「経験はしていないがありうべきものと思われる青春の記憶」が出来上がり、そこに理想と現実のギャップが生まれるのだそーな。

───┬───────────┐(理想)
└─┐経験はしていないが│
│ありうべきものと │
└┐思われる青春   │
紆余曲折 └┐  の記憶     │
(ブザマ曲線)└─┐        │
└─┐    │
└──┘

いや、これは凄いよ。バカっぽいけど、実はすごい分かりやすいのかもしれない。興味のある方は、復刊ドットコムまで、どうぞ(って宣伝みたいだなあ)。