[映画] BLACK EMPEROR/柳町光男
映画じゃないんだけどね。
ええと、新宿を中心に活動する珍走団「黒い皇帝 - BLACK EMPEROR」(ひらがな入ってるのが笑える)の生の生態を描いた動物奇想天外。あ、違うか。ドキュメンタリーです。
日曜日にやってるフジテレビでやってる『ノンフィクション』みたいな感じっていえばいいでしょうか。でもあれは、カメラマンの目線が常にあるでしょう? だけどこれは違う。本当に「野生の姿」なのだ(…野生?)。
最初のほうに息子と母親の会話のシーンがあるんだけど、これがすげーリアル。明日、家庭裁判所に行くっていう前夜、息子は「何て言う気?」とちと心配気味。対して母親は「毎晩泣いてるのよ」と言いながら内職。なんか、紙折ってんの。なにそれ。んで、そこで父親の後ろ姿のショット。無言です。何も言いません。
すげー。教科書的な「家庭」だ。
なんの演技もない、まさしく「息子」といった言葉遣いに、まさしく「母親」といった言葉遣い(松ちゃんがやるおかんみたいな)に、そして象徴としての「親父」。リアルっていいですねえ。笑えます。
例によってバイクで珍走するわけだが、立ち止まっては壁にペンキで「死ね」とか書いてるの。やっぱりひらがなかよと。かっこわるいこと甚だしい。しかもまだ70年代の作品だけあってか、まだぜんぜん珍走団の様相を呈してないんです。みんな、「普段着でバイク」(笑)。
いやー、貴重な歴史の資料なんじゃないでしょうか。日本が戦後から回復してきて、バイクキター!ってなって、若者でも手に入るようになって、だんだんとああなっていったんでしょう。興味深いです。
ただ、全体的にダルいので、ぜんぶ見るもんじゃないな。ぼくもちょっとだけ見てヤメました。アホになる。こんなん見てたら。