[本] 『良い経済学悪い経済学』ポール・クルーグマン
IT革命(笑)によってもたらされるのは、生産性の向上うんぬんっていう話だ(もちろん疑問符は付くけど)。で、その生産性の話がさらに進むと、国の国際競争力うんぬんっていう話になってくる。どっかの国の生産性が上がると、こっちの国の産業が打撃を受けるし、労働者の賃金は下がるし、 国際競争力が低下しちゃうのだー!!!・・・てな具合に。
でもね、「これは嘘だ」と、クルーグマン教授は言う。だって、貿易ってゼロサムゲームじゃないから。あっちの生産性がどーしてこっちに影響を及ぼのかね?と。たとえば、あっちが3%向上して、こっちが1%しか向上しなかったとしましょう。そしたら、どっちがどーなってる? どっちにしろ、こっちが1%向上したということには、変わりないよね。
もちろん3%向上した国は優秀だし、景気がいいんだろうし、とーぜん国際的な注目度は高くなる。が、決してこっちの国に悪影響を及ぼすようなことにはならない。あっちが良いからって、こっちの失業率が上がるなんて、んなこたぁないハズ。
そもそも、外部的な経済規模(貿易とか)って、そーんなに高くない。今の日本で言えば、まずGDPの半分が個人消費だとして、んで、そのうちの70%がサービスに支払うお金だと言われている(数字は適当)。残り30%のうち、どれだけが貿易によるものかね? たとえば半分だとしても、全体の10%程度だよね。
だから、生産性向上は国の国際競争力うんぬんにはつながらん、ってことが言われている。
で、だ。ここから重要なのだが、著者が言いたいのは「わかりやすさの弊害」ってやつなんだ。「国際競争力」っていう言葉は、すごーく分かりやすい。 日本に負けるな。アメリカに負けるな。ヨーロッパに負けるな。すごーく分かりやすい。でも、分かりやすければそれでいいのか? 分かりやすいっていう影に隠れて、なーんか重要なことを忘れちゃおらんか? クルーグマンは、こーゆーことを言いたいようだ。